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Pop-up Dinner「海が変わる、料理が伝える三陸の今。」

2026年3月23日
和海味処いっぷくにて、Pop-up Dinner「海が変わる、料理が伝える三陸の今。」を開催しました。

 

変わりゆく海の状況を料理で表現するために、フレンチと日本料理の技法でていねいに仕立てたコースをご用意。
その時期にあるものだけでつくられた特別なディナーを、県内外からご参加いただいた25名の方にお楽しみいただき大盛況となりました。

 

 

コラボシェフには、愛知県常滑市のフレンチレストランLe coeuryuzu(ル・クーリュズ)の渡邊大佑さんをお迎えしました。
ミシュランガイドにならぶ、世界的に有名なレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ(Gault et Millau)」にも掲載されています。
いっぷく山崎純と、ふたりの岩手出身シェフによる一夜限りの共演です。

 

 

ナビゲーターはおなじみ、山田町出身のH3 Food Designの菊池博文さん。
山田町と三陸の今をぜひ多くの方に知っていただきたいと、いっぷく山崎純とともにこのイベントを企画しました。

 

 

ペアリングは菊池氏と数々のイベントをともにしてきた、御茶屋の大図優香さんが担当。
ワインや岩手の地酒を、お料理の個性にあわせて提案していただきました。

 

 

応援に駆けつけてくださったのは、ホテルメトロポリタン盛岡のフランス料理「モン・フレーブ」料理長・菊池拓紀シェフはじめ、日本料理「対い鶴」のみなさんです。

 

ワインのセレクトは、山田町でスーパーマーケットびはんを営む間瀬 慶蔵さん。

スペイン・ガリシア地方で育ったアルバリーリョ種のワインを選んでいただきました。
ガリシア地方はリアス・バイシャスと呼ばれる地域でもあり、日本の三陸・リアス海岸の語源となった土地でもあります。
山田町とガリシア地方は緯度がほぼ同じ。
獲れる貝類も似ていることから、三陸のお料理にあわせたいワインとして提供されました。

 

一期一会の食材を探して

渡邊シェフが盛岡から山田へ向かう道中から、食材集めが始まっていました。
道の駅で出会った寒締めほうれん草、ふきのとう、桑茶、甲子柿など、その土地の旬の香りを宿す一期一会の野菜たち。
当日の朝に仕入れた食材は、うに、たら、椎茸。
三陸では冬は定置網漁がなく魚種が少ない時期ですが、その中で「今その時にあるもの」でメニューを構成しました。

 

 

お客さまをお迎えするテーブルには、牡蠣の殻やあわび、流木に添えられたふきのとう。
ふきのとうは渡邊シェフが山田町を歩き、自ら摘んだもの。
今この場所で生きているということを感じさせてくれる、その日にしか出会えない、まさにライブディナー。

 

 

テーブルに置かれた紙には、料理名ではなく食材の名前のみ。
食材がどんなお料理になるんだろうと想像し、楽しみながら語らう会としました。

 

Kazu Wine – Salsa Squash 2022

カズワイン – サルサ・スカッシュ(スペイン)

毛ガニとメカブのレモンジュレがけ

重箱の蓋を開けると、海にちょこんと浮かぶオランダ島の風景が。
山田の乾燥豆類を集めて海、オランダ島をイメージした盛り付け。
丸い玉はパニプリというインドのお菓子。
カリッとする食感の食べられる器で、毛ガニとめかぶと一緒に味わえる。
さわやかなレモンの風味で春の風を感じる一品。

どんこのたたき

釜石で深海200mから揚がった神経締めした新鮮などんこ(エゾイソアイナメ)。
山田の醤油、山田のみそでそれぞれ和えたどんこの肝、下に敷いた大根と一緒に味わう。

酉与右衛門(よえもん)特別純米酒「無濾過」岩手県産美山錦

川村酒造店(岩手県花巻)

川井赤しそジュース

(岩手県宮古市)

宗八ガレイのつま折り焼き

今の時期、子持ちではないために値があまりつかない宗八ガレイのお料理。
一夜干ししてふっくらと焼き上げた宗八ガレイをウニ味噌と一緒に。
その下には道明寺桜餅風に仕立てた桜蒸し。
餅米にまつもを入れて蒸しあげ、桜の葉で巻いた道明寺桜餅風でまつもと桜の香り。

芳賀さんの椎茸であわび仕立て

しっかり密度があり歯応えがある芳賀さんの山田町産しいたけをあわびに見立てて。
甘草(カンゾウ)、8種のスパイスをつかっている。
しゃきしゃき甘い甘草と菊芋のピューレ、花豆と一緒に赤ワインに合わせて。
それぞれ違う食感が楽しい一皿。

Sofros Silbon

写真右(スペイン、カスティーリャ地方)
テンプラニーリョ種のフレッシュでバランスが良い赤ワイン。

牡蠣とワカメのスープ

ソテーして少し焦がして香ばしさを引き出した山田湾産牡蠣とシャキシャキ感を楽しめる春わかめをスープに浸していただく。
牡蠣は明神丸かきほたてきち 中村敏彦さんの牡蠣。
鶏ガラ、焼きねぎ、鰹の一番出汁を使ったすっきりしながらも味わい深いスープ。

フグのフリット

ふっくらと揚がったフグと野菜のタルタルソースが包むやさしい味わい。
みじん切りにした玉ねぎが入った、ほんのり甘く、ほろ苦いふきのとうのタルタルソースが春を連れてくる。
アサツキ&アサツキの根っこは揚げて、食材をまるごといただく。
この近辺ではさまざまな種類のフグが獲れるが、魚体が小さく、大量に獲れないことや、フグを捌ける人が限られたり、小さい個体を捌くのが手間がかかったりなどで、活用場面が少ない。

Pazo de Villarei

(スペイン、ガリシア地方)
スペイン西端、リアス・バイシャス地方を代表するアルバリーニョ種は魚介類とのペアリングが人気の品種。
酸味の効いたフレッシュな辛口。

ナメタカレイのソテー

子持ちの時期、とりわけ年末は値が高くつくが、今の時期はあまり値がつかないナメタカレイ。
皮をパリッと焼き、身はふっくらと。
カレイの下には、この時期とれる寒締めほうれん草をソテーして。
とろみのあるソース、ほうれん草の甘みを蛋白なナメタカレイの身に合わせて。
ソースは白ワイン、削ったレモン、トマト、桑茶を乾燥させて細かくしたものを入れている。
桑茶は、山田へ向かう途中に道の駅で購入したもの。
海藻のような味わいを感じたとのことで、魚のソースに合わせた。

ベルタベント 純米吟醸

浜千鳥(岩手県釜石)

スープ ド ポワソン ブイヤベース

シューリ貝(ムール貝)、アワビ、ひっつみを、スープ ド ポワソンにした、海と文化が感じられる一皿。
スープ ド ポワソンとは「魚のスープ」を意味するフランス沿岸地域に伝わる家庭的な料理。
山田湾産シューリ貝(ムール貝)は振興丸 佐々木友彦さんのもの。
アワビは山田で海上養殖しているもの。
ひっつみは、東北地方の郷土料理で小麦粉を練った生地をひっぱって鍋にいれてつくるもちのようなもの。
たらやカレイ、どんこをすりつぶして煮込んだスープは、魚の旨みがぎゅっと凝縮しており、まさに海のごちそう。
アワビの肝を加えたニンニクベースのソースが添えられ、また違った味わいに。

Labor del Almadeque

(スペイン、ガリシア地方)
スペイン西端、リアス・バイシャス地方でつくられたテンプラニーリョとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンド。

うにご飯

ごはんに、山田湾で採れた初もののうにをのせて、たらのふりかけと一緒に。
うにはちょうどこの日の朝に、うにの口開け(漁の解禁日)があり仕入れたもの。
まだ身が小さいが、これから旬の夏にかけて身が大きくなり甘みが増す。

AKABU 純米酒 岩手県産米

赤武酒造(岩手県盛岡)

デザート

釜石の名産品、甲子柿をメインに、甘み、塩味、酸味とさまざま楽しめる複雑な味わい。
甲子柿は、柿室(かきむろ)で燻して脱渋してできるゼリーのような食感が特徴。
とろっとパリッと食感もにぎやか。
カスタード、あんこ、チーズ、アマゾンカカオが次々と顔を出す。
山田揚げせんべいは、菓子工房じょぶさんの手づくりのごま香る山田の郷土菓子。
楽しいぱりぱり食感を添えて。

お茶

この日最後の一杯は番茶に三陸産黒文字をブレンドしたもの。
ふんわり甘さのある香りがほっとするひととき。

 


料理人として

渡邊シェフにとって三陸の味は特別な存在でもあります。
岩手にお住まいのお祖母さまが、三陸の食材を使ってよく

料理をしてくれたため、その味に親しみながら育ったそうです。

 

 

「日本料理とフレンチ、方法は違っても、素材の良さを最大限に引き出すという点は同じ。温暖化などにより、食材が選べなくなる未来が近づいている。ある食材に感謝し、その中で価値ある料理を提供する意識が料理人皆に必要になってくる。残っているものを守りながら、お料理を通してその文化も含めて地域を知ってもらいたい。」と語ってくださいました。

 

 

山崎も続けます。
「三陸の魚を、家庭では味わえないかたちで届けたい。三陸の魚が少なくなっている中で、雑魚と呼ばれる魚をどう価値ある料理にするか、渡邊シェフと一緒に考えながらつくりあげました。」

 

参加された方々の声

参加された方々からは、三陸の今を感じながら料理を味わえたとの声が寄せられました。

三陸の今というテーマに惹かれて参加した。全てのお料理が美味しく、海が変化していることも実感できた。工夫とアイデア次第で、変化の中でも豊かさは守れるのではと感じた。(東京から参加されたお客さま)

生産者へのリスペクトが伝わり、感動した。次世代につないでいかなければと強く思った。(牡蠣の生産者さん)

 

料理を味わい、語らいながら三陸の今を感じ、食材・文化・土地を未来へつなぐ思いが詰まった一夜となりました。
山田町まで足をはこんでくださったみなさま、ありがとうございました。

 

最後に

渡邊シェフ、大変素晴らしいディナーとなりました。
ありがとうございました。
また、応援に駆けつけてくださったホテルメトロポリタン盛岡のみなさま、大図優香さん、イベントを企画してくださった菊池博文さん、ご協力いただいたみなさんに感謝申し上げます。

変わる海洋環境に対応しながらも、これからも海と山の恵み、生産者のみなさまに感謝しつつ、三陸の素晴らしさを美味しいお料理を通じてお届けしてまいります。


いっぷくのFacebookページではより多くの写真を公開しています。

海が変わる、料理が伝える三陸の今。

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